地方都市における街路空間の有効活用方法に関する研究-仙台市の中心市街地に着目して-Research on Effective Utilization of Street Space in Local Cities -Through the Focus on the Central Area of Sendai-
佐藤 優作
近年、人口減少や少子高齢化を背景に、持続可能性の観点から、都市のコンパクト化やストック型社会に向けた提案が行われている。我が国においても今まで使われてこなかった公園や道路といった公共空間のみならず、公開空地といった民地の利活用も推進されている。なかでも街路空間は、著名な祭りをはじめ、多様な市民活動を支えるオープンスペースの一翼を担う重要な空間であり、地方都市の景観を代表するものである。
本研究では街路空間の有効活用方法に着目し、近年すすめられている新たな活用事例、社会実験などについて参与的・実践的に関わり、その実情を明らかにすることを目的とする。これからの地方都市における豊かな街路空間の創出・育成方法についての知見を得ることをめざしたい。
「街路空間」の定義を、①空間的特徴の観点、②活動の観点から行なった。「街路空間」は都市における通りのうち「①空間的特徴として、歩行者優先の「みち空間」と、公開空地や公開空地等の「沿道空間」が一体的に歩行者の利用に開かれている、②活動として、交通・移動に加えて、来街者や地域組織が主体的に導入する多様な活動を受け入れる」とした(図1)。
広域の空間的形態として都市の市街地構成を捉えるマクロな視点から、市民活動の実例からの考察や仙台市内で行われた社会実験(図2)からの考察といったミクロな視点へ研究を進めた結果、来街者が交通・移動のみならず、主体的に多様な活動が行われるためには、街路空間周辺の地域組織や事業者、行政といった関係者各位の連携が街路空間の有効活用方法に大きく関わってくるとまとめる。