メガソーラー発電設備が中山間地域の生活景に及ぼす影響Effects of Solar Power Generation Facilities on Rural Lifescapes A Case Study of Marumori, Miyagi pref.
堀 あかね
近年、生活景や里山景観と呼ばれるものへの関心が高まってきている。持続可能な開発目標(SDGs)を待たずとも、我が国は自然と人間の営みの歩調をあわせる循環型社会が構築されてきた。
本研究では、宮城県丸森町において起こっているメガソーラー発電設備の開発にかかる地域の実情を明らかにし、同様な状況にあると思われる多くの中山間地域の変容状況を推察しつつ、その生活景に及ぼす影響について考察する事を目的とする。
全国各地の市町村は、景観行政団体として景観計画を定めた。しかし景観保全の実効性には課題が多い状況にある。宮城県丸森町でこの問題を考える好例として2地区を視察し、特に開発後の設置影響について注目が集まっている耕野地区において、地区内11行政区の区長にアンケートをとる事で、どのような影響が起こっているかを明らかにした。問題点を感じている声は少なくなく、特に井戸水の枯渇のような具体的な被害に至っている家もあるなど、看過できないエリアも存在する。一方、山の管理ができているかで一定の評価をする声にも配慮せざるを得ないなど、その苦悩と人々の分断が指摘された。
再生可能エネルギーという技術の進歩が環境の悪化を促進してしまうのは本末転倒である。未来を思う再生可能エネルギーと過去からの生活景を継承する人々の意思を良い状況に着地させる、総合的に地域環境を活かす方法を、引き続き考えなければならないだろう。