広域災害における避難誘導サインとしての装置に関する研究
永山 雅大
[概要]
現在、平野部における広域災害発生時、特に津波発生に関しては、避難経路ルールを明確に示し、実践している所は殆ど無い。この様な地区では、より円滑な避難誘導が必要とされ、内陸部でも、災害発生時に避難を円滑に行い、所定の場所まで誘導する環境が整っている地域は殆ど無い。 本研究は、これまでの避難誘導サインの考え方を見直し、誰しもが認知可能な避難誘導サイン装置を提案することを目的としている。
今研究では、避難誘導サイン制作に必要な、設計項目を抽出するため、実地調査、アンケート調査を行い、それらの結果を踏まえ、方向性を定めた。方向性は、歩行者用及び車用に、ハード、ソフト共に違いがあるため、両者に対しデザインを行う。また、より明確に行うため、関連樹木図、相互作用マトリクスを作成。得られた項目から、避難誘導サインの開発を、LED 技術を用い行っている。当初、対象地域を絞っていたが、今後、同環境下で今研究を活用出来るよう、他の地域に対し、調査と活用方法の検討、検証を行っている。
[サインユニット]
サインユニットの形状は、地中に埋め込む方法を採用し、固定のしやすさ・バッテリースペースの確保・衝撃吸収スペースの確保をしている。また、地中に埋め込むことで、現在一般的に使用されている道路鋲より、地上の凸部分を少なくする事が可能で、ユニット・車双方の衝撃緩和になっている。
給電は、ソーラーパネルによる蓄電。発光の指示は、避難警報と連動し避難誘導を開始する。
発光パターンは、点灯、点滅Ⅰ(0.8 秒間隔)、点滅Ⅱ(0.4 秒間隔 ) の 3 パターン用意している。点灯は、直線や緩やかなカーブ。点滅Ⅰは、車線変更や急なカーブ。点滅Ⅱは、T 字路や十字路などの合流部分と、交差点内における誘導に使用する。
[照射角度・光度・照射距離]
照射角度は、LED の種類と、レンズ部分によって固定し、10 度としている。光度は、緑 23,000〜30,400mcd、赤 30,000〜45,000mcd の物を使用する。
上記から、視認距離は、日中で 60m、夜間で 80m 以上確保している。
照射距離は、先に定めた照射角度から、全車両が視認できる距離が 12mとなる。
しかし、設置される間隔と連続性から、十分な誘導が行えるものとする。
[設置間隔・設置方法]
設置間隔は、高速道の場合 40m間隔、一般道の場合 30m 間隔で設置される。また、一般道の合流地点や交差点付近など、より誘導性を必要とする場所に関しては、10m間隔で連続して 4 箇所に設置する。
設置方法は、高速道の場合、センターライン付近と第一通行帯左側白線に設置。一般道の場合、センターライン付近とそれと対になる間隔で、第一通行帯左側白線または、路側帯に設置する。
左図の様な直線や緩やかなカーブの道では、点灯。交差点などでは、点滅を行うことで、注意を引き、適切な誘導が出来るものとする。
右図の様な本線への合流や、走行する道路が 2 車線以上の場合、十字路や交差点内に、走行の目安となるサイン装置が設置される。