国内オンリーワン・石屋根の「地技」まとまる
「あの東京駅の屋根には、何が葺かれているの?」
「実は、スレートといわれる石なんだよ。しかも、元々は全部宮城の石。そして、葺いたのも宮城の人、こちらの佐々木さんなのです。」
多くの小学生を目の前に数年前、東北大で行われた「サイエンス・デイ」の一コマです。
スレートとの出会いは2000年頃。震災前後から調査を続けています。
まずは「材」のはなしですが、これはヨーロッパをはじめ世界中の建物に使われています。
日本で使われ出したのは明治時代。洋風建築を習得した頃のことでした。
はじめは輸入していたものの、宮城県石巻市雄勝の「硯(すずり)石」が同じ石であると分かり、一大産地になるのです。
つぎに「工」のはなし。これも明治にさかのぼりますが、その「日本の祖」から数えておそらく5代目くらいにあたるのが佐々木さん。
日本で唯一、国選定保存技術の称号を受けています。登米市豊里町出身、石巻市在住。
お会いしたのは、東京駅の修復が完了した2012年からさほど経っていない頃だったと思いますが、その貴重な技術を後世へ伝える仕事を担当することができました(限定発行・非売品)。
一部には、2021年度末に修士課程を修了した林弘樹さんの図版も入っています。
また、編集デザインにおいては、産業デザイン学科・古川研究室の3年生のみなさんにも協力頂きました。
なお当研究室ではひきつづき、研究を継続していく予定です。
石盤葺ハンドブック —国選定保存技術とその応用—
オールカラー B5判・96ページ
著者 佐々木信平氏(国選定保存技術石盤葺保持者)
編集・執筆・監修 大沼正寛
編集協力・作図 阿部正
東北工業大学図書館(本館/長町) 所蔵
造家造景分野|大沼研究室・生業景デザイン研究所