福島県沿岸部地域での学外研修
11月2日(土)に「くらしのデザイン実習Ⅰ」の学外研修として、福島県沿岸部地域でフィールドワークを行いました。
最初に訪れたのは、双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」です。
当館では、東日本大震災で福島県を襲った地震や津波、原発事故による甚大な複合災害の実態と、そこからの復興の歩みを伝えています。館内には映像資料や被災したモノのほか、避難所生活の記録なども展示されています。震災発生当時の状況や、震災から13年以上を経た現在も続く原子力災害の影響について学ぶことができました。
つぎに、大熊町にある中間貯蔵施設を見学させていただきました。
中間貯蔵施設は、放射能の除染作業で発生した除去土壌や廃棄物を、最終処分までの期間安全に貯蔵するための施設です。除去土壌等の総量は約1,400万㎥(東京ドーム約11杯分)もあり、2045年3月までに県外で最終処分することが定められているものの、具体的な方法等については検討段階であるそうです。
今回、中間貯蔵工事情報センターの職員さんのご案内で、普段は立ち入ることのできない施設の一部をバスで見学させていただきました。あいにくの天候ではありましたが、土壌貯蔵施設を歩いたり、除去土壌の再生利用(道路の盛土実証)について学んだりと、施設の取り組みや当地の現在について知る貴重な経験をさせていただきました。
最後に富岡町の「とみおかアーカイブ・ミュージアム」を訪れました。
富岡町は震災の原発事故で全町避難区域となり、それに伴い、地域の歴史や文化を伝える様々な資料も失われる可能性に見舞われました。当館はそうした資料のレスキュー・保存活動をきっかけに創られた施設です。博物館施設では珍しく、収蔵庫や整理作業を行うバックヤードエリアが常時公開されています。考古・歴史・民俗資料など、多岐にわたる地域の財産を守り伝える過程を、間近で見ることができました。
今回の研修は、見学させていただいた施設や道中に見た景観を通して、当地の震災以前の暮らし、震災から現在までの変化、そしてこれからの課題など様々なことを学び考える機会となりました。防災やまちづくりを学ぶ学生たちにとっても貴重な経験となったのではないでしょうか。
非常勤助手